小説
今、わたしのもっとも好きなコミック『神のみぞ知るセカイ』の小説版が出たとあっては、読まない訳にはいかないのであった。 という訳で、この小説版は“電波系”“同時攻略”“二重性格”などをキーワードに、いつもよりもミステリ的方向に舵を切って進んでいきま…
短篇集。 まあ1篇1篇がかなり短いので、短篇を読んだという印象はあまり無いけれどね。 キャラクター中心の話(本編のレギュラー陣のエピソード)と、設定というか世界観中心の話(アーヴの過去)に分かれている感じ。 その中で、ジントとラフィール揃い踏み…
すげーっ。 これはすごい、そして勿体無い。 その勿体無さは、いいネタをうまく処理できていないとかではなく、惜しげもなくネタが詰め込まれているために感じるもの。 高速で進んで行く展開に身を委ねるのが吉、と思う。 傑作。
久しぶりに読む「駒子シリーズ」。 というか加納作品自体が数年ぶり。 わくわく。 ……、『スペース』を読み始めると思い出すと思ったのに、「駒子シリーズ」の前2作(『ななつのこものがたり』は未読』)の内容を全然思い出さんなあ〜。 まあ、それは『スペー…
超過激な環境保護運動家の女医がタヒチ沖の島に作り上げた楽園。 その楽園の様々な変貌を見事に描いているのがさすがバラードなんだけど、『ハイライズ』のように様々な行為が徐々に無臭化されて神話的になっていくこともなく、ぎりぎり現実にとどまるところ…
遥か未来の中南米。 そこで綴られる血腥く美しく哀しい物語。 いわゆる文明崩壊→一部保存された科学の再発見→文明再興、の物語の流れに連なる作品だと思いますが、スペイン語(のカタカナ表記)の固有名詞の力もあり、独特の雰囲気を感じさせてくれます。 ド…
現代アメリカに生きる世界各地から人々とともにやって来た神々。 その古き神々と現代文明の神々との争いに巻き込まれたシャドウという大男が主人公。 その魅力的な設定の上で、途中で挿入されるさまざまなエピソード、個性的なキャラクター、しっかり張られ…
警視庁・科学捜査研究所のおとり捜査官(みなし公務員)が主人公。 旧題『女囮捜査官』の方がはっきりとそんな感じだけど、めちゃくちゃぶっ飛んだ作品を予感させると思います。 だが、しかし、山田正紀の手腕はその予感をあっさりと超えるシリアスさと鋭さ…
3読目の『独裁者の城塞』です。 今回は初めて、『拷問者の影』を読んでから1年以内に『独裁者の城塞』を読んだ。 (それ以前は1年に1冊のペースとか、だから……) おお!!何か掴めたような気がするが、〜〜〜うーん、言葉にならない。 掴めたのは気のせいか…
面白い。 そして若々しい。 光瀬龍の初期作品で最初の時代物(的)作品は、そんな印象。 3代将軍家光の治世、松平伊豆守の懐刀的存在の与力・六波羅蜜たすくが江戸の町の騒がす陰謀に立ち向かう。 ひょうひょうとして剣の腕は立つが女に弱い(笑)たすくの…
ようこそ、変容と狂騒の21世紀へ! カバー折り返しにあるこの言葉どおり、人類とその他のものの変容を狂騒的に描きつくすストロス渾身の大傑作。 やった、ついにホームランだ!!という気分。 『シンギュラリティ・スカイ』=三塁打 『アイアン・サンライズ…
前回の復刊のときは『マイナス・ゼロ』だけ買って(読んで)終わってしまったけれど、今回はちゃんと残りの作品を全部買いました。 買ってよかった!! この『ツィス』は傑作です。 個人的には『マイナス・ゼロ』より断然こっち。 謎の音によるパニック小説…
3読目の3巻です。 あれ? また前に読んだときと印象が違う。 前回の印象は、アルザボ中心だった。 けっこう恐ろしい、という印象。 今回読んで印象に残ったのは、テュポーンとピアトンのあたり。 話のスケールのでかさ、ある意味ものすごいピンチの緊迫感、…
ちょうどこの書影は帯がない。 こんな感じで、できれば帯も扉や裏表紙のあらすじも読まずに読めたら、最高に楽しい驚きが味わえるでしょう(勿論あらすじを知っていても、存分に楽しめはするんですけど)。 圧倒的な強さでベストSF2008の海外篇を制した大傑…
1997年に1巻のみ発売された『ソリッドファイター』が、残り2巻分と合わせて1冊の単行本になり、通販と1部アニメイト店舗での購入が可能だったもの。 これは書籍としては流通していないものなので、アマゾンの書影は無しです。 1巻を楽しく読んだわたしは、10…
待望のアンソロジーが来た。 日本SF短篇の年刊傑作選だ。 まずは2007年からスタートいうことですけど、長く続いてくれることを切に願います。 収録作ごとに編者のことば・著者のことばがあるのが、非常にうれしい。 巻末には「二〇〇七年の日本SF界の概況」…
やはりこの作品の1番のセールスポイントは蒸気コンピュータだろう。 19世紀イギリスに蒸気機関で駆動するコンピュータが存在する世界。 いかにもスチームパンクって感じだ。 と思ったけれど、実は本家スチームパンクのジェイムズ・P・ブレイロック『ホムンク…
詩羽という謎の女性に出会う4人の人物。 彼らが視点人物となる中篇4作の連作形式の1冊。 詩羽と出会うことで彼らの人生がどのように変わっていくのか……。 傑作。 人に親切にするのが仕事、という詩羽のキャラがまず凄い。 そして親切にしているだけで生活で…
上の本で『あいどる』について言及されていたギブスンの4年ぶりの新作は、『パターン・レコグニション』に続き現代が舞台のお話(登場人物は少し被っているけど『パタレコ』を読んでいなくても、話を理解するのに不都合はないと思う)。 今回は得意の複数視…
素晴らしい〜。 文句なしの傑作です。 日本のファンタジーの必読書として何年も前から読まなきゃ、と思っていたのですが、ようやく読むことができました。 未読の方は、まずは三浦しをんさんの名解説を読んでみてください。 小学6年生の主人公・一郎が雨の日…
困ったなあ〜。 面白いし、凄いけど、傑作かと問われると困る。 各キャラのラストを確認するためにパラパラと読み返すとまた印象が変わってしまった。 全然読めてなかったかも。 現代サイコスリラーと遠未来ワイドスクリーン・バロックのコラボレーション。 …
傑作。 『虐殺器官』以上の娯楽性と思弁性。 広くいろいろな人におすすめできますよ。 伊藤計劃の長篇3作目は、『虐殺器官』のラストから繋がっているかもしれないし、また別の世界のはなしかもしれない近未来。 <大災禍>と呼ばれる(たぶん)大規模な戦乱…
ロボット官僚たちを率いてたった一人で植民惑星を担当する<司政官>。 若き司政官マセが、初めて担当する植民惑星ラクザーンで全住民の退避のために奮闘する。そんなあらすじから想定される方向に話は進むのだけど、読んでいるときの印象は全然違うものにな…
イーガンの新しい短篇集は、なんと<奇想コレクション>より登場。 全篇本邦初訳というありがたさ。 そして<奇想コレクション>ということで今までにない雰囲気のイーガンが読める。 今までだってイーガンは面白かったし最高なんだけど、この本で本音が見え…
傑作。 読み終わったあと、激しくこころが揺れ動いた。 18年ぶりの再読(訳文の変更はあるけど)なのにいろいろな考えが、まだ頭に渦巻いている。 また、いつか読み返そう。 お話の細部を忘れた頃に……。 はるか未来の地球。 科学文明は崩壊し、人々は文明の…
夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)作者: 森見登美彦出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング発売日: 2008/12/25メディア: 文庫購入: 84人 クリック: 1,493回この商品を含むブログ (719件) を見る森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』文庫版。 これが出る前に…
大傑作。 とりあえず読んでみてください。 以上。 と書いて終りにしたいくらい。 読めば凄さが判るし、読むのなら事前情報は何もない方がいいと思います。 それでも、折角なので少し感想を。 邦訳されたのパワーズの小説『舞踏会へ向かう三人の農夫』『ガラ…
中篇2篇「マリオネット症候群」「クラリネット症候群」のカップリングの1冊。 ははは。 素晴らしい。 なんという馬鹿(笑)。「マリオネット症候群」は、以前デュアル文庫で出たときに読んでいるので再読です。 話を覚えていての再読でもキッチリ面白い。 こ…
小川一水の短篇集。 巻末の『時砂の王』の番外編的「アルワラの潮の音」だけちょっと毛色が違うけれど、あとは概ね同系統(でもネタは様々)な作品を集めた1冊。 同系統っていうのは、未来の日常および価値観の変容というところかな。 ベストは「Slowlife in…
面白い〜停まらない〜。 という訳で一気読み必至の1冊。 好みか好みじゃないか、でいうと好みじゃなかったわたしですらも一気読みだった。 何が謎で、何を推理して、何を解くのか。 それ自体のサプライズが楽しめる話なのだから、あらすじも書けません。 『…