『ソリッドファイター　完全版』　古橋秀之著　アスキー・メディアワークス

1997年に1巻のみ発売された『ソリッドファイター』が、残り2巻分と合わせて1冊の単行本になり、通販と1部アニメイト店舗での購入が可能だったもの。
これは書籍としては流通していないものなので、アマゾンの書影は無しです。

1巻を楽しく読んだわたしは、10年以上経ってのまさかの復活に大歓喜。
そしてその歓喜は十二分に報われたのでした。

どこまでも青く抜けるような空の下、限定された方形のリング。
果てしなく続く戦いの時の中、限定された試合時間。

格闘ゲームにかける青春というか青春にかける格闘ゲームといおうか。
古橋秀之の超本気がストレートに炸裂する傑作。
帯にある“幻”の名作の言葉は伊達じゃない（そしてその“幻”さが作中で意味を持つ奇跡）。
この作品がお蔵入りだった事実にふつふつと怒りを覚えますが、今は完全版を読めたことを素直に喜びます。
今読んでも、ヒロインの凶暴ぶりや、後の作品でも使った叙述トリックの冴え、そして何といっても主人公スダケンのボンクラの星さ加減は見事としか言いようがない。
あとは普通に買うことができる状況がくることを願うのみです。