『アッチェレランド』チャールズ・ストロス 著 酒井昭伸 訳 海外SFノヴェルズ

アッチェレランド (海外SFノヴェルズ)

ようこそ、変容と狂騒の21世紀へ!

カバー折り返しにあるこの言葉どおり、人類とその他のものの変容を狂騒的に描きつくすストロス渾身の大傑作。
やった、ついにホームランだ!!という気分。
『シンギュラリティ・スカイ』=三塁打
『アイアン・サンライズ』=二塁打
『残虐行為記録保管所』=エンタイトルツーベース(笑)

全部長打なんだけど、ホームランが出なかったストロスのバットが、遂に文句なしのホームランをかっ飛ばした。
第一部はサイバーパンク版『詩羽のいる町』という趣きの、素晴らしいアイデアを無償でガンガン人にあげながら生きている男マンフレッド・マックスを主人公にしたサイバーパンク2.0でもポスト・サイバーパンクでもニュー・サイバーパンクでも何と呼んでもいいけど、ちゃんとギブスンだけじゃなくて、スターリングとラッカーも入っているサイバーパンクなのが素晴らしい。
そしてまさかの展開(でもベタです)の第二部に驚き、SFの様々なサブジャンルを制覇しそうな第三部に腰を抜かす。
まさかこの一冊で、あんなことやこんなことができちゃうなんて……。
小ネタ、言葉遊びも相変わらず半端ないし、キャラもいい感じです。
犬派のわたしにもこの猫の可愛い憎たらしさに負けました>アイネコ。

早くも今年の海外SFベスト候補と思われるので、ぜひ読んでいただきたい一冊です。