『スプーク・カントリー』ウィリアム・ギブスン 著 浅倉久志 訳 海外SFノヴェルズ

スプーク・カントリー (海外SFノヴェルズ)
上の本で『あいどる』について言及されていたギブスンの4年ぶりの新作は、『パターン・レコグニション』に続き現代が舞台のお話(登場人物は少し被っているけど『パタレコ』を読んでいなくても、話を理解するのに不都合はないと思う)。
今回は得意の複数視点キャラ同時進行物語になっています。
そして『カウント・ゼロ』+『あいどる』という3部作の2作目繋がりのマッシュアップになっている感じがした(異教の神々と箱とロック歌手とそのファン心理)。更に前作『パターン・レコグニション』のフォーマットも繋がっているかも。
解説に“ギブスン作品初ともいえるサイバーパンク・コメディ”という表現がありますが、読んでいる間は特にコメディとは思えず、ラスト近くで全体の構図が見えてからようやく笑えるようになりました(「83 ストラスコナ」とか)。
これが映像だったらもっと最初から笑えていたような気がする。
設定の妙が全部頭に入っていて、ヴィジュアルを明確に思い浮べて読めるのであれば、もっとゲラゲラ笑いながら読めたかも、という気がするけど、それには再読しないとだな〜。
あと、いつもどおりラストは最高にいいです。
(たぶんあるだろう)この現代舞台の3作目(3部作完結編?)は4年も待たせないで読ませて欲しい。