『1984年のUWF』柳澤健 著 文藝春秋

1984年のUWF

もうなんというか序章の少年中井祐樹が溜まらない。
小学生でプロレスを馬鹿にする同級生に口で負けたことがなく、中学生で第一次UWFに後れを取るまいと学校でプロレス団体を立ち上げる。
かっこよすぎるだろう。

その後、カール・ゴッチ佐山聡藤原喜明前田日明というUWFのキーパーソンに即して、プロレス側からの格闘技への志向を描き出していく。それと同時に、成長した中井少年が佐山聡が創始したシューティングという格闘技の選手としてそれを逆から見ている構図。

面白い。
当時、元々猪木信者だったわたしもプロレス最強からのUWF、という方向性に(全面的ではなかったけれど)立脚して日々を過ごしていて、本書に引用されている様々な本も読んでいました。
時代が動いている手ごたえ、というのを確かに感じて。

知らなかったこと、知っていたこと、知っていたけれど忘れてしまっていたことを、たっぷりと読める幸せ。
まだまだ掘り下げてほしい部分もあるし、ヒクソンVS高田で終わっているので続きが読みたい気持ちもある。
ただダッチ・マンテルについてこんなに読めたのがうれしい驚き。