『シン・ゴジラ』 ネタバレ感想

シン・ゴジラ音楽集














ではネタバレ感想を。
アメリカのレジェンダリー・ピクチャーズ製作ギャレス・エドワーズ監督による『GODZILLA ゴジラ』のヒットを受けて日本でも『ゴジラ』を作るっていうニュースを聞いたとき、庵野監督でやればいいに〜、と思っていた。
きっと素晴らしい『ゴジラ』を作ってくれるだろうって。
そしたら庵野総監督&樋口監督・特技監督という布陣になった。
大丈夫だ。
あとは公開を楽しみに待っているだけでよかった(宣伝が少なくて不安にはなったけど←結果としては先入観なしで観られてよかったよ)。

という訳で『シン・ゴジラ』。
前情報なし、で観た。
ショック。
うわー、なにこれ!
これはゴジラじゃない。これはゴジラのエサになる怪獣だ。
メガヌロンだよ。
きっとゴジラから食われそうになって逃げて上陸してきたんだ。
と最初の上陸怪獣(のちにゴジラ第2形態と判明)を見たとき思った。
違った。
変わった。
進化というか変態というか。
おおっ、その手があったか!
ということでサプライズにやられてそのまま心の中で拍手し続けて観ていきました。
街が、踏切が、信号がかっこよく。
政治家が、官僚が、技術者が、自衛隊員がきびきびと。
セリフを含めた映像のテンポが気持ちいい。
巨災対というはみだし者・縦割り序列越境チームが、物語上でのゴジラ対応の要となりますが、彼らがの才能だけでゴジラに立ち向かえる作りにはなっていない。
とことん才能を発揮できる環境というカタルシスと同時に、ほかの組織との調整、上から承認が必要というごつい足枷によってリアリティを補完する。
そこが気持ちいい。
一方今作のゴジラはというと。
見た目、遺留物、行動からこの巨大生物らしきものを推測していくしかない。
明確な意志がるあるのかないのか人間には判らない。
実はわたしが怪獣映画を観るとき、登場怪獣の心理を(心の中で)アテレコしていたりする。
えっ、俺だけですか、それって。
ビオゴジとかクレバーな感じで「ふっ、かかったな人間」みたいな。
ある意味、高貴で高い知性を持った野生動物みたいな感じで観ていた部分がある。
でも今回のゴジラにはそれができない。
そこは最初のゴジラと一緒ですね。
人間を憎んでいるのか見下しているのか関心があるのかないのかも判らない。
終盤、ヤシオリ作戦で血液凝固剤を経口投与されて一旦動きを止めたゴジラが、突然前触れもなく熱戦を吐き出して第一部隊を薙ぎ払ってしまうところなんかは、酔っぱらって横になっているところを介抱されていた人が、下呂を吐いたみたいな感じで吐いた人もそれを掛けられた人も哀しい、という印象に(作戦名的には合ってるのでその解釈でいいのかも)。
絵面としてギャグみたいだけど、というのは特撮としてはけっこう大事なことで、平成ガメラ一作目でギャオスを閉じ込めるのに福岡ドームを使うように、高層ビルを倒してゴジラを下敷きにするときのカッコよさと大笑いが同時にくる感じが好きです。
特撮というパースを狂わせることを武器とする映像の力ここにあり。


傑作!と満足して劇場をだけれど、一度観ただけではちゃんと受け止められていないところも多々ありそうなので、また観にいこうと思っている今日この頃です。