『キマイラの新しい城』 殊能将之 講談社ノベルス

キマイラの新しい城 (講談社ノベルス)
今回は、名探偵石動戯作が750年前の密室殺人の謎に挑む!って話です。

もちろんこの作者の事だから真面目な歴史ミステリーになる訳もなく、現代人に取り付いた被害者である騎士の幽霊と石動(及び警察)の二つの視点で話が進んでいきます。
今回は結構軽いタッチであり、騎士の見た東京(六本木ヒルズ!)の驚異の数々と石動のいつも以上の変な探偵振りが楽しく描かれています。
ムアコックファンとしては巻末の「参考・引用文献」にズラーッと<エターナルチャンピオン>が載っているのにそそられましたが、ムアコックファン向けには小ネタしかなかったみたいです(読みきれなかったかも)。一番関係ありそうな『エレコーゼ』が載ってなかったのは意図的なのか、偶然か…。

鏡の中は日曜日』のような重厚タイプの作品を期待しているとちょっと違うと感じますが、騎士の勇気や気高さに心打たれる(殊能作品としては)異色作に仕上がっています。