『禅銃』 バリントン・J・ベイリー 著 酒井昭伸 訳 ハヤカワ文庫SF

 
京フェスでベイリー企画があるということで、新装版を購入し20年ぶりくらいの再読。
ということで、読んでから1ヶ月くらい経ってしまったorz
初読時の印象は、かっこよくて、変で、よく判らない(笑)。
その時点で『カエアンの聖衣』は読んでいたので、ベイリー流のサイバーパンク作品(東洋趣味、身体改造、電脳空間)だと思っていました。

で、今回再読してみてまず、原著刊行が1983年なら『ニューロマンサー』(原著刊行1984年)より前じゃないか、と気づいた。
そうか、邦訳を『ニューロマンサー』→『禅<ゼン・ガン>』の順で読んだ所為で何となくそう思っていたのか(『禅<ゼン・ガン>銃』をわたしが古本を読んだためそうなったけれど、早川文庫の刊行順は『禅<ゼン・ガン>銃』→『ニューロマンサー』)。

今回再読してみると、細かいネタ(アンチ・アンチエイジングとか知能強化した動物とか転乗ボックスとか)が賑やかしのためだけではなく、思った以上に全体の構成につながっているのに驚いた。
(ベイリーにしては)垂れ流しではなく構築されている感じ。
凝った宇宙艦隊戦、頽廃の銀河帝国、無敵の超兵士。
そのスペオペ味に独自の物理理論をぶち込んで、本格SFとしても楽しめる作品に仕上げている。
でも、霊長類をほぼすべて盛り込んだキメラが、木でできた伝説の銃から、ピンクの破線の光線を出して、πタッチしているので全部ぶち壊し。
だが、それがいい
ラストもすごい傑作です。