2008-02-09 『時砂の王』 小川一水 著 ハヤカワ文庫JA SF 小説 小川一水の時間物の長篇。 さわやかな読後感の佳作です。 邪馬台国の卑弥呼を視点人物にしたパートと、26世紀の人型人工知性が視点人物のパートが交互に描かれていきます。 時間物としてもの凄く斬新な訳ではないけれど、手際よく処理されていて楽しく読めました。 ただ、この設定やアイディアから導き出されるビジョンと(作者が書きたかったとわたしに思えた)テーマ的な部分が必ずしも一致しなかったような気もします。 もしもっと長く重厚に書き込んでいたら、21世紀版『百億の昼と千億の夜』になっていたかもしれません。