『残虐行為記録保管所』チャールズ・ストロス 著 金子浩 訳 海外SFノヴェルズ

残虐行為記録保管所 (海外SFノヴェルズ)
アラン・チューリングの天才的頭脳が生み出した定理によって、他の宇宙へ繋がる道が出来てしまった世界。
数学とコンピュータで魔術を駆使するパラレル現代のイギリスには、対魔術的災害特務機関<ランドリー>があった。
主人公ボブ・ハワードは<ランドリー>のシステム管理者のはずだったのだが、いつのまにか大事件の渦中に・・・。


という訳で、設定勝ち。
オカルト、数学、コンピュータ、クトゥルーナチス、スパイ、官僚組織の各ネタが、くっつき・入れ替え・言い直されて大量に投下されてます。<第三種栄光の手>、ブレッチリーパーク暗号センター、トゥーレ協会、応用オカルトコンピューティング、バシリスク銃・・・。
ほとんど長篇の表題作「残虐行為記録保管所」と中篇「コンクリート・ジャングル」の2編が収録されていて、どちらもややクライマックスがおとなしいかな、という気がします。
それでも、この魅力的な設定を活かした物語として充分楽しめました。
あと作者後記にあるティム・パワーズの『宣告』も、ぜひぜひ訳されて欲しい。