『大失敗』スタニスワフ・レム 著 久山宏一 訳 国書刊行会

FIASKO‐大失敗 (スタニスワフ・レムコレクション)
レム最後の長篇小説は、SFガジェットテンコ盛りで哲学的議論満載の力強い作品でした。
F.S.S.』ばりに凝った巨大ロボットの操縦描写や、ハードな宇宙船の航法などで派手に楽しませてくれつつ、科学者・医師・神父・航宙士等々様々な立場の人が意見をぶつけ合う論議も読み応えがあって大満足でした。
この小説を読んでいて改めて思ったのが、レムの視点というのは(人間や進歩についての)楽観論に対してはとことん批判的ではあるけれど、そうかといって悲観論べったりでもなく、そういう単純な二元論の遥か先へと向いているのではということでした。<レム・コレクション>は完結していないので、レムを読む楽しさはまだまだ終わらないのです。
それ以外にも未読があるしね。