『火星の長城』 アリステア・レナルズ 著 中原尚哉 訳 ハヤカワ文庫SF

火星の長城 (ハヤカワ文庫 SF レ 4-3 レヴェレーション・スペース 1)
という訳で、『カズムシティ』を積読にしたままレナルズの『火星の長城』を読みました。
『啓示空間』『カズムシティ』を含むレヴェレーション・スペースの短篇集で、『啓示空間』が『スキズマトリックス』なら『火星の長城』は(12月刊行予定の『銀河北極』も含めて)『蝉の女王』といったところでしょうか。
「火星の長城」「氷河」「エウロパのスパイ」「ウェザー」「ダイヤモンドの犬」の5篇が収録されていますが、ベストは「ダイヤモンドの犬」。
(おそらく異星人の造った)謎の塔に挑むために金持ちの男が集めた異性人研究者、ハッカー、サイボーグ船長、パターンジャグラー(『啓示空間』に出ましたね)に強化された数学の天才が、命を懸けて謎を解いていく。
このゲーム性丸出しの作りが、レナルズの作風に適していると思います。
また、即死じゃないかぎりテクノロジーの力で何度でも治療して再挑戦出来るのが、身も蓋もない感じいいです。
次の『銀河北極』の前に『カズムシティ』を読めたらいいなあ〜、と思いますが無理だろうとも思います。