『ブルースカイ』桜庭一樹 著 ハヤカワ文庫JA

ブルースカイ (ハヤカワ文庫 JA)
はじめて桜庭一樹を読みました。
びっくり〜。
これは、傑作だ。
中世ドイツ、近未来シンガポール、来年の日本。
三つの時代を舞台にした、三つの物語。
その絡ませ方がユニーク。
日本SFの流れの中においてみると、設定的には『百億の昼と千億の夜』や『夢魔のふる夜』に近いものがあるのかもしれない。
作品全体の悲しいけれど美しいトーンも、この二作に似ているかもしれない。
でも、作品の中心となる「少女」というものの意味、魔力というものの解釈、キャラクタードラマの見事な構築ぶりは、この作品ならでは、だと思う。
個人的には近未来シンガポールを舞台にした第二部がお気に入り。
心優しき3Dグラフィッカーのディッキー君には、思いっきり感情移入出来ちゃいました。
近未来シンガポールもとっても魅力的に描かれていて、これだけでも長篇に出来そうな密度でした。


これなら他の桜庭一樹の作品も読むしかないな。