『老ヴォールの惑星』小川一水 著 ハヤカワ文庫JA

老ヴォールの惑星 (次世代型作家のリアル・フィクション ハヤカワ文庫 JA (809))
投票のために2005年の作品を絶賛消化中ですが、期待通りこの短篇集は年間ベスト級でした。
「ギャルナフカの迷宮」
「老ヴォールの惑星」
「幸せになる箱庭」
「漂った男」
うーん、どの作品も甲乙つけがたい。
ジョン・ヴァーリィの『ティーターン』を思わせる「幸せになる箱庭」も好きなんだけどベストは「漂った男」かな。
墜落してある惑星に辿りついたパイロットの物語なのだが、孤独なんだけど話し相手がいて漂流してるけど安全、という奇妙で矛盾した状況が生み出すドラマの数々。
その中で様々な思考実験が繰り広げられ、面白いような痛ましいような不思議なドラマが描かれる。
評判を聞いていたから安心して読み始めたんだけど、予想以上の満足感をいただきました。