『高い城・文学エッセイ』スタニスワフ・レム 著 沼野充義・巽孝之・芝田文乃・加藤有子・井上暁子 訳 国書刊行会

高い城・文学エッセイ (スタニスワフ・レム コレクション)
なんて素晴らしく美しく、そして物悲しい。
このまま映画にしてほしいな〜。
何といっても、少年レムの奇妙な活動を綴った自伝小説「高い城」がすごすぎ。
スティーヴン・ミルハウザーの短篇というか、リチャード・パワーズの長篇の1エピソードというか…。
ニール・スティーヴンスンのキャラクターばりの、このぶっ飛んだ天才少年の最大の趣味は、架空の身分証明書の作成。偽造じゃなくて作成。
架空の証明書だから。
それを誰にも(友人にも家族にも)見せず、ひとり黙々と悦に入る少年の孤独と喜び。
やっぱり少年時代からレムはレムだ。
しかしこの話は本当に本当の話かな?
逆に創作であっても面白いぞ。

その他ディック、ストルガツキー兄弟ボルヘスナボコフ他についての批評も読ませてくれます。