『機甲天使ガブリエル』宮武一貴×加藤直之 著 ラピュータ

機甲天使ガブリエル
期待と満足度は反比例するといいますが、大丈夫、期待を超える満足度でした。
80年代半ばのスタジオぬえ幻のオリジナル玩具企画『機甲天使ガブリエル』を、デザイン画・カラーイラスト・試作モデル写真・対談等から現代に蘇らせた1冊。
パワードスーツデザインの本家本元ともいえるスタジオぬえによる、この企画独自の概念(それは見てのお楽しみ)によってデザインされたパワードスーツたち。
デザイン画を見ているだけで、自分の手に持って動かしたり変形させたりするイメージがどんどん浮かんでくる。
その上で、試作モデルの写真まで見たら鼻血が出ますよ(笑)。
今もし『機甲天使ガブリエル』が玩具でシリーズ展開したら買っちゃうだろうなあ〜、と楽しいような寂しいような気持ちにしてくれて、大満足の1冊です。
まあ、それだけでも値段に見合った価値はおお有りなんですが、SFファン的には宮武一貴に関する1冊としても見逃せない。
河森さんのラフスケッチもあるし、もちろん加藤さんのカラーイラストや文章もあるんですけど、この本はずばり加藤直之プロデュースによるデザイナー宮武一貴論としても物凄く読み応えがあります。
イデアを形にしていくために、何枚も何枚もデザイン画を描いていく。
描いた物にどんどん修正を加えていく(修正液が生々しい)。
優れたアイデアをいちばん相応しい形にして、それをこの本にあるようなデザインとして表現したとき、そのデザインに触れたものは、まるでベイリーやワトスンの短篇を読んだときのような、衝撃と気分の高揚が味わうことができるでしょう。
あとは、宮武さんの文章もたっぷり(でももっと欲しい)読めるのが嬉しい。
「パワードスーツ誕生秘話」を読んで、その『宇宙の戦士』への視点に驚き、『2001年宇宙の旅』への強い想いに目を見張る。
あと「ロバート・マッコール先生」は懐かしくて泣けた。
まだまだ本になっていない宮武さんの文章はあると思いますので、それらも纏まると非常に喜ばしいなあ。


という訳で、これから何度も何度も読み返す本なのは間違いないでしょう。