『蝉の女王』ブルース・スターリング 著 小川隆 訳 ハヤカワ文庫SF

蝉の女王 (ハヤカワ文庫SF)

蝉の女王 (ハヤカワ文庫SF)

『スキズマトリックス』を再読したら、自然と俺の手はこの本を取ってしまった。
こちらは19年ぶりの再読。
この短篇集は『スキズマトリックス』と同じく<工作者/機械主義者>シリーズの短篇を5篇収録している。
それにプラスしてウィリアム・ギブスンの序文とスターリング自身のあとがき(かなり長いです)とシリーズ年表、そして熱気が溢れ出ている訳者あとがきで264ページというスリムな1冊となっている。
表紙イラストを描いた横山宏の本文イラストもあり。
序文とあとがきはこの本のための書き下ろしのはず。

収録作は、
「巣」
「スパイダー・ローズ」
「蝉の女王」
「火星の神の庭」
「<機械主義者/工作者の時代> 二十の情景」



「巣」と「スパイダー・ローズ」はシリーズの看板がなくても普通に傑作。
この2篇のために買っても損はしません。
「蝉の女王」はある意味『スキズマトリックス』短縮版の趣がある佳作。
「火星の神の庭」「<機械主義者/工作者の時代> 二十の情景」はシリーズ物としての設定等が頭に入っていないと楽しめないかもだけど、充分に面白い。

読む甲斐はある短篇集だと思うので、復刊されたら買いましょう。というか俺も買います。



と書いてきてアレですが、1冊の本としては『スキズマトリックス』の方が遥かに好きだし、スターリングの短篇集としても『グローバルヘッド』の方が面白いと思う。
でもそれは俺がシリーズ物をまとめた短篇集よりも色々な傾向の作品を集めた短篇集の方が好きな所為かもしれない。

グローバルヘッド

グローバルヘッド

あ!、なんだ『グローバルヘッド』は新刊で買えるようです。