『マルドゥック・ヴェロシティ』1,2,3  冲方丁 著 ハヤカワ文庫JA

マルドゥック・ヴェロシティ〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)マルドゥック・ヴェロシティ 2 (ハヤカワ文庫JA)マルドゥック・ヴェロシティ 3 (ハヤカワ文庫JA)
よかった〜、読み終わってみると納得の出来だった。途中はノレなくてどうしようと思ったが・・・(面白いんだけど、読んでで夢中になれなかったんだよねえ)。
前作(時系列では後)の『マルドゥック・スクランブル』で少し触れられていたウフコックと以前のパートナーであるボイルドがコンビを組んでいた頃のお話。
アメコミ的にいうとヒーロー(もしくはその肉親)がかつて属していたチーム話、って感じ。
ボイルド+ウフコックが属する「09」のメンバーたちが、敵対する組織のサイボーグ(って作中ではいわないけど)たちと戦うストーリーを中心に、ボイルドの心の動きをじっくりと追っていく。
何というか、全10巻くらいの週刊少年誌連載漫画を無理やり3冊の小説に収めた感じ。
それがいい方と悪い方の両方に出ているようだ。
長いスパンを見越した話の進め方であまり緻密ではない感じが、前半の勢いのなさに繋がっているような気がするし、今まで積み重ねてきたお話が動き出して、作者も読者もおいて行っちゃう長期連載物ならではの輝きと同様のものが後半では見られる。
完成度よりも行けるところまで行っちゃう感で勝負して、それがいい方に出たと思う。

今度は『スクランブル』の次の話を書いて欲しいな。