『小説のストラテジー』 佐藤亜紀 著 青土社

小説のストラテジー

小説のストラテジー

ユリイカ」で連載の一回目を読んだ時から凄いと思っていましたが、一冊に纏まって凄さが際立ってます。
わたしは極めて影響を受けやすい人間なので、説得力を持って書かれた「小説を読むこと/書くこと」についての本書の意見に頷いたり、感嘆したり、目から鱗を落としたりしまくっていました。
それだけではなく、この本はこちらの思考というか妄想を誘発する力も強くて、特に「4 楽興の時」には刺激をたっぷりと受けました。
小説が作者の偏見(思考・能力)が越えた位置へ辿り着くこともある、という考えには色々と思い当たる事もあり、作者の頭がいいからといっても作品が必ずしも面白いわけではないんだ、と当たり前のことに気付いたりもしました。逆に議論しても説得力がまったくないような作者でも、面白い作品を書きうるってことなわけで…。
と、止め処なく考えてしまったりする訳です。
何回も読み返せる一冊として手元に置いておきます。