『啓示空間』アレステア・レナルズ 著 中原尚哉 訳 ハヤカワ文庫SF

啓示空間 (ハヤカワ文庫SF)
う〜ん。
困った。
でも困ったといいながらも顔は笑ってしまう。
そんな微妙で奇妙な評価になっちゃうこの作品。
いい歳をした(見かけは若いけど)ラブコメ男ダニエル・シルベステ君が、電脳お父さんと口げんかしたり、格好つけたり、減らず口を叩いたり、色んな彼女といろいろあったりと忙しいお話だ。
あとは、謎の異星人の遺跡とか、謎の巨大宇宙船とか、謎のマドモワゼルとか、シルベステ君の過去の謎とか、様々な謎のオンパレード。
文章は読みやすいし、キャラもまあまあ立っているし、アクションにも事欠かない。
この厚い本を最後まで読ませる力はあると思う。
ただ、エピソードの繋げ方や場面転換が上手くいってない部分も多いし、キャラも活かしきれていない。

でも、昔のアニメ、…うーんと例えば劇場版の『サイボーグ009 超銀河伝説』とか『地球へ…』とか『銀河鉄道999』みたいな雰囲気、ってほんと古いな。
ああいう未来像・宇宙像ってなんかいいんだ。
または、なつかしの国際映画社のアニメみたいな味わいも…。
『J9』シリーズや『スラングル』の、あの決まっているようでイマイチ決まっていない、まったりとした空気。
憎めないんだなー。
そう、結論をいうと欠点はけっこうあるけれど、嫌いになれない作品なんだ、俺にとっては。
という訳で、楽しい読書が出来ましたよ。