『スラムオンライン』桜坂洋 著 ハヤカワ文庫JA

スラムオンライン (ハヤカワ文庫 JA (800))
俺はこの小説が好き。
はっきりとそう感じた。
最初は文章にノレず、ちょっと取っ付きにくい感じがしたけど、途中からはぐいぐい引き込まれた。
俺自身はこの主人公のようなレベルで格闘ゲームはしていないから(というか出来ない)、主人公の感じること・考えたことに感覚としては肉薄出来ないけれど、それでもこの作品には強烈に惹かれてしまう。
青春の気分や感覚の丸出し小説には、あまり興味がないけれど、この作品にはそういう要素がありながら(それもかなり)、面白く感じるのは主人公に世界把握の意思があるからだろうか…。
地味なようでいて波乱万丈で、格闘技トーナメントはちゃんと盛り上がるけど主眼はそこにはない。
まとまっているようないないような感じで、様々な要素が絡み合って、そんなに厚くないこの一冊の中でキッチリと物語は終わる。
不思議な手触りの小説でした。