『現代SF1500冊 乱闘編1975-1995』 大森望 著 太田出版

現代SF1500冊 乱闘編 1975―1995
やっと1冊(じゃなくて10月刊行予定の続編とあわせて2冊)にまとまったSF界のトリックスター大森望のSF時評集。
実はわたし…、この本に収められている《小説奇想天外》掲載の「海外SF問題相談室」第1回目を連載で読んだ時、非常に腹を立てた。
そう、本当に不愉快だったのだ。
SF界は当時(今でも、かもしれない)いい意味でも悪い意味でも真面目だった。
SFであることに一生懸命なことや真剣なことを常に読者に訴えかけていた感じがした。
わたしも、SFに関わる者は真面目にSFに取り組まなければならないと本気で思っていた。
そのわたしの気持ちに、冷水を浴びせるがごとくのふざけっぷり。
あの頃、SF界(の商業誌)でこんな悪ふざけな文章を書く人は他にいなかった。
悪のりの文章やギャグはもちろん当時もたくさんあったけど、ここまで作品を馬鹿にした(ように感じられるくらい正直な)文章はなかったと思う。
まあでも、このやろーと怒りつつも、身も蓋もなさすぎる的確な『スキズマトリックス』評を読んで、この人面白いと思ったのも事実。
その後はその毒のある味にすっかり惹かれて毎号毎号楽しみに読んでいた。

という訳で、久々に「海外SF問題相談室」を通読して、あの頃はわたしも若かったと思ったしだいです。
それ以外にも《本の雑誌》掲載の「新刊めったくたガイド」もたっぷりあって読み応え充分。


あと、この1500冊中わたしが何冊既読かは、さすがに面倒くさいのでやらない予定(というか本当に1500冊取り上げているの?)。