『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』巻ノ四 夢枕獏 著 徳間書店

沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻之四
では、ネタバレありでいくの未読の方はご注意ください。



堂々の完結!!
パチパチパチパチ。
まずは獏さん、ご苦労様でした。
いよいよタイトルどおり宴です。
酒を呑み、馳走を食し、詩を詠む。
踊り、楽器を奏で、景色を愛でる。
逸勢が感動の涙を流すのも頷けるほど、美しく心を揺さぶる場面の連続です。
実はこの巻に入って、黄鶴の動機が明らかになったがそれに納得出来ない(というかあんな状況になったことに自体に、説得力がない)し、1国を揺さぶるに事件にしてはスケールが小さくなってしまった、と感じていたのですよ。
だが、宴のシーンが素晴らしいのでノー問題。
そして数々の因縁に終止符。
ちょっと伏線がおざなりだったものもありますが…。
まあ、いいです。
ところが、まだまだページはあります。
そうです。宴のあとに、空海が唐に来た本当の目的が果たされる訳です。
つまりは、密を持ち帰る、ってことです。
しかし、空海は夢枕キャラとしては異常に実際的です。
ちゃんと現実的に身分が上昇しているし。
でも、それが面白いからいいのです。
皇帝との対面とか、恵果和尚との絡みとか、言葉の応酬に空海の能力が表れています。
書の力もちゃんと役に立っています。

もちろん、ラストは予想通り(というか史実どおり)になりますが、非常に前向きで爽やかな気分になれました。

短くて(滞在時間)、長い(執筆期間)、旅が終わりましたが、いくらか続編へ含みを残している模様。
楽しみに待ちたいと思います。

で、「四殺」は持ち帰ったのか>空海