『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』 巻の一 夢枕獏 著  徳間書店

沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ1

こんな獏さんを待っていましたー!
そうそう、哲学問答あり、男の友情あり、恐るべき怪異あり、こまかな風景描写ありの物語。
そしてきちんと終わること(笑)。
大丈夫です。今回は全4巻と決まっているから安心して読める。

でも、空海をこういうキャラにするとは思わなかったなー。
美空やシッダールタのようなキャラにするのだと思っていた。
唇が紅くて「ですよね」っていうやつ。
ところが「ふふん」キャラですよ。
九門鳳介や九十九乱蔵系だ(そこまでにはマッチョではないようだが)。
その空海と相棒の橘逸勢とのコンビは、晴明+博雅を思わせる雰囲気あり。
ただ、空海も逸勢も野心と欲望がばっちりあるところが、晴明たちとは違いますね。
その野心や欲望が、空海の手に入れようとしている「密」と重大な関係がありそうな感じ。

あっという間に読み終わって満足してますが、一つ不安が。
「主な登場人物」の左側のページ。
空海がいた時代の唐より、さらに前の時代の人々が載っている…。
また過去話が長々と続く訳じゃ…。