『彼の手も声も』1・2巻 いくえみ綾 作 集英社文庫

彼の手も声も (1) (マーガレットコミックス (1601))彼の手も声も (2) (マーガレットコミックス (1643))彼の手も声も (3) (マーガレットコミックス (1679))彼の手も声も (4) (マーガレットコミックス (1718))
(書影はコミック版の方です)
10年ぶり(以上)の再読。
当時は(反感を感じながらも)面白く読んだ作品。
でも、好きかどうかというと微妙。
フィクションならではの(いい意味での)嘘臭さに欠けると思ったから。
個人的にはもっとマンガマンガしたものの方が好きだった。
少女の心象風景が支配するコマ割とモノローグによって、感覚的にはリアルなものを作り出せたかもしれないけど、ドラマは断片的にしか伝わってこなかったから。

で、今回の再読。
昔より主人公たちと(年齢的な)距離が出来たので、逆に昔は見えにくかったドラマの骨格が見えてきた。
思ったよりもオーソドックスなドラマの構造がちゃんとあって、それが機能している事が判った。
なお且つ心象風景を的確に描いている力は、今のわたしにもまだ有効でした。
よかった、昔よりさらに面白く読めました。