[アストロシティ:コンフェッション』ライター カート・ビュシーク アーティスト ブレント・アンダーソン カバー・アーティスト アレックス・ロス 翻訳 秋友克也 ジャイブ

アストロシティ:コンフェッション (JIVE AMERICAN COMICSシリーズ)
実は俺、中学生くらいまで本気でスーパーヒーローになりたかった。
どんなヒーローかは具体的に書かないけど(恥ずかしいし)、なれることを疑っていなかった。
でも、いつしかヒーローになることを諦めた。
なれない事にどうやって気付いたのかは、もう憶えていない。


この作品は、スーパーヒーローになりたい、と一度でも一瞬でも思った全て人に読んで欲しい。
そう素直に思える傑作。


スーパーヒーローになるためにアストロシティに来た少年ブライアン・キニーは、ヒーローの一人“コンフェッサー”に認められ、助手の“オルターボーイ”になった。
そして、アストロシティを揺るがす事件の渦中で、ブライアンの人間として、更にヒーローとしての成長と、その師“コンフェッサー”の謎の正体を追って物語は進んで行く。


普通人からヒーローの一員になったブライアンの視点は、(ライターのビュシークのように)ヒーローたちへの愛を持った批判的な眼差しとなり、厚みのあるヒーロー観を描き出している。
そして、まだ普通人の心を持っているブライアンが主人公だからこそ、ここで描かれるアストロシティの一般市民とヒーローたちとの対立を、両方の立場・心情とも読者に伝えることが出来るのだろう。


スーパーヒーロー物ならではの馬鹿馬鹿しさ(出てくる異星人のパルプっぽさ!)を捨てないで、シリアスで現代的なストーリーに挑むこのシリーズは、これからも続々と邦訳してくれる事を期待しています、というかちゃんと出してくださいよ、お願いします。