『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』巻之三 夢枕獏 著 徳間書店

沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻之三
ちょっとネタバレになるかもです。
注意。

ようやく登場人物が出揃った。
というか前巻に出て来ていた人々の正体が見えてきたってことで。
いよいよラストの宴に向かって物語がまとまって行く。
と思ったが。
ここにきてまたもや手紙です。
それも前巻のより長いし。
尚且つ今巻で終わってないし…。

何で手紙で過去シーンを書くのか考えてみた。
過去の場面をそのまま書くと終わらないからだろうなー、やっぱり。 
獏さんの作品は、作中の過去のキャラの方が魅力的なことがよくあるから、過去シーンをそのまま書いたら、止まらなくなっちゃうんだろう。
そこで(過去の人物が書いた)手記を現在のキャラが読んでいる、という手法を使ってみたりもしたのだろう。
ところが、手記だと結構長く書けちゃうし。
結局過去シーンを普通に書いてるのとあまり変わらなくなった。
という訳で、小説全体のバランスを崩さないように、手紙にしてみたのではないだろうか。

と勝手な解釈をしてみましたが、またもや手紙の領分を越えるくらい長いです。
手紙の途中に休憩が入っているし(笑)。
しかし。
悔しいけど面白いんだよねー。
宦官高力士の魅力がどんどん出てきている。
次巻最終巻にて、全てがきっちりと決まれば文句なしです。