『ねじれた町』 眉村卓

ねじれた町 (ハルキ文庫)

びっくりしました、これは傑作です。
東京から古い田舎町に引っ越してきた中学生が主人公のジュブナイルSF。
30年前の作品なのでさすがに会話とかは古びていますが、今風のイラストを付けて電撃文庫とかで出せば、売れると思うけどなあ…。気の強い謎めいた美少女も出てくるし。
まず、その町では人の意思の力によって何でも可能である、という設定がいいです。
という訳で、主人公は強い意志の力によって、この町の大きな戦いの中心的な人物となって行く。その過程のドラマが、ジュブナイルにしてはシビアです。妬みとか恨みとかがちゃんと描かれていて。
そして、主人公が町を救うために最後に選んだ方法は、説得力があって納得出来ます。でも、一番凄いのは作者がその意見を全面肯定していないことでしょう。